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2021.12.17

2021年11月開催「World Fintech Festival Japan」イベントレポート

11月11日にオンラインカンファレンス「The World FinTech Festival Japan」が開催されました。このイベントは、世界最大級のフィンテックイベント「Singapore FinTech Festival(SFF)」から独立した「World FinTech Festival(WFF)」の一環として開催されたものです。本イベントには、Shibuya Startup Support(SSS)スペシャルアドバイザーのジャスティン・ウォルドロン氏と、「スゴイ副業」募集で渋谷区が獲得したスタートアップ・エコシステム アドバイザーの渡部志保がスピーカーとして参加しました。セッションの様子は以下の動画でご覧いただけます。

“Why Are More Startups and Investors Looking Towards Japan?”
https://youtu.be/asUxD_5LSBo?t=8085

スピーカー
・ジャスティン・ウォルドロン:Playco 共同創業者兼プレジデント
・マーク・ビヴェンズ:Shizen Capital マネージングパートナー
・中島隆行:Deel 日本担当カントリーマネージャー
・渡部志保(モデレーター):渋谷区 スタートアップ・エコシステム アドバイザー、SWAR Inc.

まず、スタートアップのマーケティング戦略を専門とする渡部がスピーカー各位に、「日本のスタートアップ業界に特有の課題とチャンスとは?」と質問を投げかけました。

東京に本社を置くモバイルゲーミングスタートアップ「Playco」のウォルドロン氏は、「ゲーム業界もそうですが、数十年にわたる経験や知識が蓄積されているところに新しいテクノロジーの波が組み合わさるかたちで産業が発展しています。海外からスタートアップ人材が異なる視点のアイデアや手法をそこに持ち込むことで、よりグローバルな企業が日本に生まれることを期待しています」と答えました。

国境を超えてリモート人材を活用できる労務管理ソリューション「Deel」の国内展開をリードする立場から、中島氏はこう語ります。「世界ランクでGDPが3位、貿易額が4位、労働者人口が8位である日本は巨大な市場なので、国境をまたいだ就労やビジネスが容易になれば、さらなる発展が期待できます。また、過去数十年で外国人労働者が3倍になっていますが、それには人口減少を補う以上の意味があります。若い世代のスタートアップでは、不足しているAIやブロックチェーンのベストな人材を海外に求めるなど組織におけるダイバーシティが当たり前になりつつあります」

世界各地のスタートアップに投資し、現在はベンチャーキャピタル「Shizen Capital」のマネージング・パートナーとして東京で活動するビヴェンズ氏は、「今の日本のスタートアップ業界は、まるで15年前のフランスを見ているようで、まだサイロ化されたままで保守的なところがあります。しかし、フランスもそのような状態から出発して今があるのです。政府の債務超過、高齢化、人材不足、大企業の停滞といったマクロ経済的な課題に、どの先進国よりも先に直面している日本がそういった課題を解決できれば、国際的に大きく成長するチャンスがあるでしょう」と述べました。

以下、スピーカーの発言から注目すべきものをいくつかピックアップしてご紹介します。

Web 3.0の時代に成功するとしたら、それは日本(Web 3.0は日本にとって新しいものではない)

ウォルドロン氏:Web 3.0(現在のインターネットをより自立分散化した場として進化させたもの)時代には、顧客との直接的な関係を構築し、彼らにどれだけ「深い」価値を提供できるかが重要になります。インターネットの進化によって、特定のコミュニティのニーズに応える細分化されたビジネスが実現可能になりましたが、これはまさに日本が長年やってきた方法です。人口が密集している日本では、細分化された顧客のニーズにとことん応えることが経済合理的だったのです。
だからこそ、Web 3.0の時代に日本が提供できるものは多いのではないでしょうか。NFT(非代替性トークン)は、日本のアイドルグループのロイヤリティープログラムのようなものです。技術的には新しいと感じますが、その心理は変わりません。ブロックチェーン上のNFTは、顧客がコミュニティを金銭的に支援するような非常に深いつながりを形成するためにも使えます。しかし実際には、これは日本には以前からあったものです。例えば、AKB48が2008年に行った、ファンがレコードを購入して特典を得るロイヤリティプログラムは、欧米人には理解しがたいものでした。
Web3.0時代のインターネットをリアルな場として再現すると東京になります。原宿はShopifyを物質化したような場所だといえるのではないでしょうか。

マクロ経済の課題や社会問題を先行して抱える日本には「ファーストムーバー」としてのアドバンテージがあり、危機はチャンスに転じられる

ビヴェンズ氏:高齢化、人材不足、大企業の停滞、国家の債務残高対GDP比が250%以上であることなど、日本が抱える問題は近い将来、ドイツなど多くの先進国が経験するものです。日本はこれらの問題を最初に経験した先進国のひとつであるため、世界に向けてイノベーティブなソリューションを最初に提案し示すことができます。

「日本で成功してから世界に広げる」という考え方は忘れるべき

ビヴェンズ氏:日本には、アメリカや中国に匹敵するほど大きな国内市場はありません。人口減少が進む中、スタートアップは最初からグローバル展開を目指すべきです。

スタートアップビジネスのグローバル展開には、国籍や文化の多様性を会社のDNAに組み込むことが不可欠

ビヴェンズ氏:最初から多様性のあるチームを作り、グローバル市場で成功するために必要なサービスや製品に様々な文化や視点を組み込んでおく必要があります。多様性があれば、クロスポリネーション(植物の異花受粉)、つまり国籍や文化の異なる人々が他の場所に良さやアイデアを持ち寄ることができる相乗効果が生まれます。

Web3.0の時代には、価値観を共有するコミュニティが国境を越えて存在する

ウォルドロン氏:より多くのスタートアップ企業(特にB2C)が、地理的な場所を問わない「コミュニティ」を中心に戦略を展開するようになるでしょう。
米国では、国内に本社を置くのではなく、優秀な人材がいる場所に複数のグローバルオフィスを持つことを選ぶスタートアップが増えています。ゲーム企業トップ10のうち8社は米国外に拠点を置いています。なぜならば、世界各地に人材が育ちつつあるからです

日本の投資家に共通する問題点は、意思決定の遅さと多様な視点の欠如

ビヴェンズ氏:投資家の動きが早ければ、起業家も早く成果を出せます。リスク回避のために様子見をすることは、投資家として不利に働きます。シード投資の際に過去5年間の実績データで判断するのではなく、欧米の投資家のように未来への投資を行うべきです。

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